産業保健師ってどんなお仕事をしているんだろう?なかなか聞く機会が少ないですよね。
従業員の安全・健康を守り、そして組織を支える産業保健師。
今回は、現役産業保健師であるわたしが、主なお仕事内容についてご紹介します。
あくまで自身の経験をもとにした内容ですので、より正確で網羅的な情報をお求めの方は、あわせて専門書や公式資料もご参照ください。
進路を考えている学生さん、就職先を考えている看護学生さん、転職を考えている看護師・保健師さん等のご参考となりましたら幸いです。
安全衛生委員会への参加
50人以上の従業員が在籍している会社では、月に1回以上「安全衛生委員会」というものの設置義務が労働安全衛生法に定められています。産業保健師の参加義務は定めれていませんが、医療従事者として参加される企業様が多いのではないでしょうか。
安全衛生委員会では、労働者の安全と健康に関する審議を行います。労働災害の発生状況や有給取得状況、健康診断実施状況や職場環境測定やリスクマネジメント等々について、事業者、衛生管理者、産業医、各職場の部長等が参加し審議します。
わたしの場合は、安全衛生委員会で保健師として、
「健康管理センターからのお知らせ」と10分程度の「健康講話」をお話しています。
*健康管理センターという部署名は企業様によって様々です。学校の保健室のような位置付けです。
各種健康診断の企画・運用
健康診断には様々な種類があり、企業での業務内容によって必要な健康診断が異なります。
労働安全衛生法に定められている健康診断は下記の通りです。
- 雇入時健康診断:入社した従業員に対する健康診断
- 定期健康診断:年に1回全員が受診する健康診断
- 特定業務従事者健康診断:特定の業務についている従業員が受ける健康診断(深夜業務等)
- 特殊健康診断:有機溶剤や特定化学物質、電離放射線等を扱う従業員が受ける健康診断
- 海外派遣労働者健康診断:海外で勤務する従業員が受ける健康診断
- 給食従業員の検便(腸内細菌検査):食品を扱う従業員が受ける健康診断
その他、法令では定められておりませんが、下記健康診断を実施している企業様もあります。
- 生活習慣病健診
- 婦人科検診
- 人間ドック など
これらの健康診断を企業の必要性に応じて、企画・運用していきます。
社内で健康診断を実施する場合は、健診業者様と打ち合わせを重ねに重ね、従業員の満足度を保ちつついかに離席時間を短くして稼働率を下げないか注意を払います。
社外で健康診断を実施する場合は、受診漏れがないか等管理が大変なのではないでしょうか。
ちなみにわたしはこの健康診断の企画・運用が一番好きな業務でした。
健康診断事後措置対応
企業では健康診断を実施しておしまい!ではなく、健康診断の結果に基づいて従業員・組織へのサポートを行います。
主な支援内容として、
- 就業措置:安全・健康に働けるように一定基準を超えると就業に制限をかけることがあります。
- 産業医 / 保健師面談:サポートが必要な方に対して産業医 / 保健師による面談を実施します。
各種健康教育の企画・運用
健康診断の結果や従業員の属性、企業の特徴等を分析し、組織に必要なサポートを考えます。
以下のような健康教育があります。
- 健康講話:毎月テーマを変えて、季節ものやトレンド等を踏まえて企画
- メンタルヘルス教育:一次予防〜二次予防をメインに入社時や昇格時等、対象に合わせて企画
- 生活習慣病予防教育:生活習慣病のリスクや改善策を
- 救急対応教育:もしものことがあった際に、心肺蘇生や応急処置ができるように
- 女性に向けた教育:更年期障害や女性特有のがんについて
- 禁煙教育 など
意識啓発活動
従業員の「自分の健康は自分で守る!」精神を向上させるため、社内各所に掲示物を作成したり、禁煙対策で定期的に喫煙所を見回りをしたり、社内放送を利用して啓発メッセージを流す等の活動をしています。
健康相談
職場では、人間関係やご自身の健康のことなど、さまざまなご相談をいただくことがあります。ご相談をいただけるのは、信頼関係があってこそ。本当にありがたいことです。
大切なのは、ひとりで抱え込まずに相談すること。本人了承の上、産業医やほかの保健師、上司と一緒に、解決に向けてサポートしていきましょう。
休職・復職支援
フィジカルやメンタル面で会社をお休みする方・復職する方への支援です。休職・復職の問題は、本人だけでなく、主治医、産業医、職場の上司、人事担当など様々な職種の方と連携してサポートを行います。保健師は円滑に連携が進むようサポートを行い、また本人へのより細かなサポートを行います。
受動喫煙対策
最近では、喫煙対策に力を入れる企業が増え、敷地内禁煙の導入も広がっています。保健師は、禁煙プログラムの企画や相談対応などを通して、禁煙サポートを行います。
職場巡視
従業員の安全と健康を守るために定期的な職場巡視を行います。巡視では、作業環境や設備の安全性、衛生状態をチェックし、必要に応じて改善の提案や指導を行います。従業員が働いている現場を身近に感じられる貴重な機会です!
体調不良時の救護対応
勤務中に体調を崩された従業員の初期対応を行います。周りの従業員は突然のことに慌てたり不安を感じることが多くあります。自身も緊急時は焦りますが、ここは冷静さを心がけて対処します。緊急時に備えて、救急バックの整備、対応マニュアルを準備しておくことをおすすめします。
産業保健師の仕事内容をざっとご紹介しました。
書ききれなかった部分もありますが、少しでもイメージしていただけたら嬉しいです。
気になることやもっと知りたいことがあれば、ぜひコメントしてくださいね。
長文を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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